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教え子を死なせてしまった
あれほど辞退をする様に忠告に忠告を重ねたが 大会に出場する事を強く志願してきた彼の顔を見るのは初めてだった
彼がそこまでして大会に出場したい理由は話してはくれなかったが私は根負けしてしまった
それがあんな結果になるとは
死んだ生徒がどうでもよい生徒であったら立ち直りは早いのだろうが
彼には才能があった
脚の筋肉も素晴らしい
マラソン史上に名を残す名ランナーに育て上げるつもりだった
・・・嘘だ
・・・本当は才能があるわけではない
私は彼をある意味 特別な感情で見ていた
妻子のいる私が初めてもった感情である
生徒にロードランを命じ 私は1人部室に
無造作に置いてある彼の名前の書いてある体操着に鼻を押し付け持ってきた紙袋へ入れた
私は彼を愛していたのだろうか それともちょと違う
彼の身体にしか興味はない
他の事はどうでもいい
この自分の感情に若干恐ろしさも感じるが我慢できない
とにかく身体に触れたくてたまらなくなり
入念に 密着できるストレッチを施し 私は彼の肉づきを目に焼き付けていた
それでも物足りず 我が家へ招き 妻の前で 彼とストレッチをする事で快感をおぼえていた
葬式には頭の中が真っ白な状態で出席をした
彼のご両親が大会直前に離婚していた事を他の生徒から聞いた時
彼がマラソンを始めた理由を常々聞いていた私の中の点と点とが繋がった
きっとすべてを忘れたかったのだろう
酒臭い彼の父親から 一冊のノートを貰った
『息子のマラソン日記です 先生の事を本当に尊敬していたんです 先生!貰ってやってください!』
顔をくしゃくしゃにしながらノートを渡した父親の表情で我にかえった
帰宅しノートを広げた
そこには毎日の練習メニューと私のアドバイスが細かく書かれていた
ある日の日記
○月○日 先生!俺 先生に出会えて本当によかった
ストレッチって大事だね そのおかけでケガも疲れも全然ないし 本当に長く走れる!先生が家で教えてくれたストレッチ しつこいと思ってたけど本当に大事だね
おかげで何とか合宿初日終えれたよ
マラソンとは関係ないけどいつか 俺とキャッチボールやってくれよ 変だとは思われるだろうけど お願い!
親子ってそんなんなんでしょ?先生の事 勝手に親父と思ってるけど 許してね
あどけない字で書かれているそのノートを抱きしめた
強く抱きしめた
次の日から私は布団から出る事ができなくなっていた
自分のゆがんだ愛情
彼への嘘
妻への嘘
娘への嘘
教え子達への裏切り
ごめんなさい
としか言えず
ただただひたすらひたすらに
謝る事しかできなかった
謝る事しかできない人間になってしまった
今日も私は土下座をしたまま寝床から起きれずにいるのでした














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